交通事故を起こしたときに、事故を起こした側も事故にあった側もともに過失がある交通事故の場合、例えば7:3や6:4など過失割合が決められ、損害賠償を行うときに過失相殺されます。
しかし一方に過失がないような場合、つまりもらい事故の場合には過失割合が100:0となります。これは、加害者側が被害者に損害賠償の全額を負担することを意味します。
しかし問題としてこの「もらい事故」のケースで、被害者となるべき運転者が、“無過失”であることを証明しなければ、賠償する義務を負うことがあります。これを無過失責任と言います。
民法では「過失責任」主義が取られるのですが、交通事故による損害賠償を規定した自動車損害賠償保障法は民法の特別法にアタリ、ここでは、民法とは違う主義で賠償責任を定めています。
この法の第3条を見るとわかるのですが、損害賠償責任を定める民法第709条と比べたら、「故意または過失により」という文言がないのです。この条文の前文をみると、自動車を運転している者は、どのような場合でも損害賠償の責任を負う、と読めます。
つまり、民法の「過失責任」に対し、自動車損害賠償保障法が「無過失責任」といわれ、これが交通事故の無過失責任と言う事になります。
しかし、このままではすべての責任が被害者側に来ることになります。
それではあまりにも理不尽ですので、責任を負わなくてもよい条件(免責事由)を3つ記載しています。
①自己および運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと
②被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと
③自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったことを
証明したときになります。